2011/04/05

箱の金型設計 第5回 基本的な仕様の確認その4~製品の金型成立性3

箱の金型設計 第4回はコチラ



















設計前の5項目の確認事項の3つ目です。

● 設計前に確認したい5つの項目
1.製品の収縮率 S=5/1000(第1回より
2.製品の取り数 1個取(第2回より
3.製品の金型成立性
  3a.抜き勾配が欲しい 抜き勾配3°(第4回より
  3b.角にRが欲しい ←今回はココ
4.使用する成形機
5.ゲートの位置、形状




3b.角にRが欲しい

今回は製品の角部にR付けをしたいと思います。

下の図でいうと、
左のような状態から、右の状態に修正します。

角の状態
Rを付けた状態










PCのモニター、キーボードのキー携帯電話、など。
身近にある樹脂製品を見てみみると、
角部に丸みがあると思います。

一見ついていないようでも
よ~く見ると、小さなRが付いていたりします。
基本的に製品の角部はRです。


何故、角を丸める必要があるのか?
主な理由としては、
下記の4点があげられます。


● 製品上の理由
1.製品の耐久性
2.使いやすさ、安全性

● 金型上の理由
3.金型の耐久性
4.加工のしやすさ

1.製品の耐久性
製品をぶつけてしまった時に
角にRが付いている場合と付いていない場合では
その耐久性が違ってきます。

Rが付いていないということは、
製品が尖っているわけです。
それだけ製品が欠けやすくなってしまいます。


2.使いやすさ、安全性 
例えば、何かを運ぶ時
角が尖っている場合と丸みが付いている場合では、
持ちやすさは全然違います。

製品が角であったが為に
使用者が怪我をしてしまう
といったケースもありますので、
たかが丸みをつけるとは言え、馬鹿にはできません。

3.金型の耐久性
これは製品の耐久性と同じ事です。
金型だって、角で作るよりは丸みをつけた方が
当然、壊れにくいです。

金型が壊れてしまった場合、
そこから取り出す全ての製品に影響します。
もう、大惨事。恐ろしいことです。

4.加工のしやすさ
左のような凹形状の加工をするとき
角があると、どうしても刃物が隅に届きません。

この角をキレイに仕上げるためには、
放電など、別の加工方法をとらなければなりません。

別の加工方法をとるということは、それだけ時間もコストも掛ります。
このご時世、無駄なお金をかけている余裕はありません。出来る限り少ないの加工方法、工数で済ませたいものです。


ですから、この凹形状にRをつけて。。。


刃物で容易に加工できるような形状に修正します。

ここでポイントとなるのがRの大きさです。
ただ、Rをつければ良いというわけではありません。
Rの大きさは刃物より大きくする必要があります。

なぜなら、もしRが刃物より小さいと、結局刃物は隅に届かず。
Rを付けないのと同じ状態になってしまうからです。


以上のような理由から、
対象となる製品に特に制限が無いのであれば
角部には刃物より大きなRをあげることが、

よい製品を作るコツとなります。


今回の製品に
前回の勾配と今回のRを付けたものが
こちらになります。


















つづく

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